教材制作における「トライアル」の価値

· コラム

こんにちは! 「教材の力」で人材育成の課題を解決する教材戦略ラボの矢澤です。

今年はプロデュースした教材がまたひとつ一般発売を迎えます。今回もニッチなジャンルです^^

この教材の開発プロジェクトがスタートしたのが昨年5月。

8月に100名規模のモニタートライアルを実施し、検証&微調整を経て、ver.1の完成を迎えました。

(※写真はトライアル後に回収した教材。これだけの規模のトライアルをしっかりできるのは理想的です)

というわけで、今日のコラムのテーマはこちら。

教材制作における「トライアル」の価値

ここでの「トライアル」とは、「お試し検証」のことです。

教材の開発・制作過程で、「教材の試作(ver.0)を一定の対象者に使ってもらい、その結果を検証したうえで、本番の教材(ver.1)に反映させること」を意味します。

教材制作をするうえでは、この「トライアル」がとても重要!というお話です。

ですが、このコラムを読んでくださっている皆さんにとって、おそらく耳の痛い話なのではないかと思います。

なぜなら、「それが理想的であることはわかっているけれど、そんな時間的余裕はない…!」というのが正直な感想だと思うからです。

実際のところ、講座やセミナーを主催する私自身もそう思います。笑

トライアルをするメリット

トライアルをするには、当然、時間も手間も、お金もかかります。

教材制作の現場においては、「開講日までの時間との勝負!」というケースが多いため、そのタイトなスケジュールの中に「トライアル期間」を入れるのは、現実的ではない場合が多いと思います。

また、トライアルをするには「本番用のver.1」を抜粋/簡略化した「トライアル用のver.0」を別途準備したり、「トライアルに協力してくれる人」を探すといった「プラスαの作業やタスク」が必要になります。

そこには当然「プラスαの経費」が発生するかもしれません。

 

あるいは、トライアルの結果「いまいちだった」場合、教材制作を0(ゼロ)リセットしなければいけないことも考えられます。

…と考えると、やはり負担は多く、「トライアルをやろう!」とはなりにくいのが現状です。

ですが、それでもやっぱり「トライアルができるに越したことはない」のです。

その理由は…

 

「その教材が、開発者(講師や主催者)の意図通りに機能するか? しないか?」が分かるから!

教材戦略ラボが折に触れてお伝えしている通り、教材には「唯一の正解」がありません。

では、「何をもって "正解" とするか?」というと、第一義的には「受講生の反応や成果」です。

自戒を込めて書きますが、「教材制作のゴール」は「教材の完成・提供」ではありません!

「その教材を、講師が意図した通りに、受講生が使えた」という事実を確認することではじめて、「その教材開発は合っていた・正解だった」と言うことができるのです。

トライアルには、そんな本質的な教材の開発・制作をするうえでの大きな価値があります。

トライアルの実施方法(2つ)

というわけで、皆さんには教材の開発・制作をする際は、ぜひ「トライアルをやってみようか」と一度は検討してみていただきたいと思います。

ここでは、トライアルのやり方について、2つのケースを紹介します。

ご自身の状況に合わせて参考にしてみてください。

《事例1》トライアルにリソース(時間・労力・経費)が割けない場合の方法

この場合は、トライアル云々は考えずに、まずは「本番用の教材の完成」を目指せばOKです。

ですが、ここで作る教材は「完成版」ではなく、あくまでも「ver.0である」と認識しましょう。

つまり「ver.0の完成は、本当の完成ではない」→「ver.0を本番で使いながら検証・改訂し、ver.1を完成させる」という心づもりでいることです。

要は「本番を走りながら、トライアルもする」という考え方。

本番の講座運営と同時進行で行うので、大変ではありますが、もうそこは「本番」の場です。

実際の受講生から「忌憚のないリアルなフィードバック」を得ることができ、それらを「ver.1」に反映させることができます。

もしこのケースにおいて、「ver.0を本番で使うのが心苦しい(受講生に申し訳ない気がする)…」と感じる場合は、講座自体を「0期」などとしてしまうのも良いです。

  • 受講生へのお願い事項として、講座のプログラム内に「より良い教材開発のためのディスカッションの時間」なども含めてしまう
  • その代わり受講料を少し割引価格にする

なども検討してみましょう。

教材制作の観点からいちばん避けたいのは「ひとまず作ったもの(ver.0)を、何の疑いもなく使い続けてしまうこと」です。

せっかく作るのであれば、必ずどこかのタイミングで「検証・改善」のプロセスを入れていただきたいと思います。

《事例2》トライアルにリソース(時間・労力・経費)を割ける場合の方法

この場合は「本番用のver.1を100%完成の状態でリリースすること」を目指します。

トライアルをするときは、まずは以下の検討をしましょう。

  • いつ・どんなタイミングで
  • 誰を相手に
  • どれくらいの期間で
  • どれくらいの規模のトライアルを
  • どんな形式や方法で実施するのか?
そして大切なのは「何を検証するか」です。以下のようにチェックリストにしておき、トライアル終了後にトライアル協力者から「アンケート形式」でフィードバックをもらえるようにしておくと良いです。

例)検証ポイント

  • 所定のタイミングや期間内に読んで/学んでもらえるか?(ページ数・項目数・文章量など)
  • 理解できるか? 消化不良にならないか?(レベル感・表記/表現など)
  • ワークの内容や問いは適切か? 意図通りの回答を誘発することができるか?
  • ディレクションは適切か? 意図通りの実践・行動を促せたか?
  • 教材全般が受講生に与える「印象」はどうか? ポジティブか? 意図する印象を与えられたか? …etc.
検証するべきポイントは「どんな学びの場で使うどんな教材を開発するのか?」によって異なると思いますが、どんな教材においても立ち返るべきは「開発者の意図」です。
「その教材をどんな意図で作っているのか? それが意図通りに活用されるのか・されないのか?」
これを検証するのが「トライアル」です。

いかがでしたでしょうか?

手間も時間も経費もかかる「トライアル」ではありますが、「本質的な教材」「人がちゃんと育つ教材」を作るうえで大切にしたい教材開発のプロセスです。

ぜひ参考にしてみてください!

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